通信

　ピアノ練習室というところが僕の大学の一角に存在しています。誰でも自由にピアノを弾ける空間なんです。空間と云うと広い場所に何台もピアノが並んでいるのを想像しますけど，実際はホテルみたいに個室になってて鍵も掛かるエレガントなところです。そこでピアノをだらだらと弾いていたんですけど，ふと手をとめるとさっき僕が弾いてたのと同じ曲を上の階の誰かが弾いてくれているのに気づきました。通信，無線の通信みたいに，顔が見えない，お互いの人格も知らない他者と交流するのがとても面白かったです。ありがとうございます。。

　図書館へ行ってCDを：ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」を借りて来ました。貸出手続きをするためにカウンターに行こうとしたら丁度おじいさんも並ぶところだったんですけど，私に順番を譲ってくださいました。「お先にどうぞ，年寄りは話が長いから...w」というのが彼の談です。そんな老紳士は風呂包みを解くと本を5，6冊取り出して延長を注文していました。

　喫煙所へ行って煙草を喫おうとしたんですけどマッチが無い。さっき最後の1本を擦り終わったのを思い出しました。なので近くにいたおじさんにライターを借りました。彼は弊学の職員さんと思しき雰囲気で，よく喫煙所で会うんですけど，会話をするのはこれが初めてです。マルボロをお喫いの筈だったのですがいつの間にか加熱式にチェンジしていました。それでも胸ポケから透明な水色のライターを取り出してかしてくれました。ありがたい。。カチッと音を立ててPeaceに火を点けて返却。

　帰りの電車で中原中也詩集を読んでいました。電車がカーブして，夕日が本の上を撫でていきます。今日は人と関わる機会の多い日でした。他者とこんな感じで交流するの好きだな。。